ヒルナギの生存報告所

生き方がヘタクソな男の生存報告所

4月、新人研修編

新人研修編

 

 

 

 怠けていても、謎の義務感に駆られていても、平等に、残酷に時間は過ぎていく。

 

 

 

 気が付くと会社を辞めてから幾日か経過していた。時の流れというものは本当に恐ろしい。

 

 

 

 会社で余裕が無くなっていた時は朝飯にウイダー、昼飯にサンドイッチ、夕飯にエナドリとうどんという目も当てられないメニューで回していたが、現在はもう食欲も回復し、数日前には油そばを食べに行って、何食わぬ顔で完食してしまった。

 

 

 

 きっとあの会社にいた頃の苦しみも、いつかは思い出に変わるのだろう。

 

 

 

 あの頃は苦労したなぁ、良くも悪くも仕事を辞めた選択は間違っていなかったなぁと。

 

 

 

 しかしながら今現在の俺が出来ることは、良い思い出に変えていくこと、辞めた選択を後悔しないように歩んでいくことなので、俺は謎の罪悪感と焦燥感に駆られながらも、今日も出来ることを少しずつ重ねていく。

 


ーーー。

 

 

 

 新人研修は4月2日からゴールデンウィーク前までの約1ヶ月弱開催された。

 


 世間の自粛は何処へやら、最初の週は新卒生二十人全員が同じ部屋に集められ、定時と少し過ぎるまで勉強をする日々だった。

 

 

 

 なんだかんだで外部のマナー講師がやってきて、一日かけて社会人としてのマナーも叩き込まれたよ。

 

 

 

 マナー研修に関しては、ネットに毒されていたので偏見しか持っていなかったのですが、流石のマナー講師だ、めちゃくちゃ体育会系のキビキビした兄ちゃんだった。

 

 

 

 難癖付けて泥臭くも意味の無い謎のマナーバトルを仕掛けようか迷ったが、時間が惜しいので辞めた。

 

 

 

 


ーーー。

 

 

 

 


 後は基本的にはメーカーだから、商品の知識と商品に関する基礎的な理論や法則の説明、そして営業として必要なスキルに関する講義が殆どだった。

 


 

 文字にするとそれだけだが、実際は毎朝確認テストが開催され、8割未満の点数を取った者は再テスト。

 

 

 

 日々全く知らない学問分野を新しく習う中で、理解し切れないまま再テストの山が積み上がっていく、そんな1ヶ月を過ごすことになった。

 

 

 

ーーー。

 

 

 

 転機が訪れたのは4月の2週目の半ばであった。

 

 

 

同期「はぁ〜ウチも在宅にならねぇかなぁwwww」

俺「いえいえ弊社は攻めの姿勢を維持していますのでwwww」

 

 

 

とかなんとかくだらないことを駄弁っていたら、夕方に突然人事が大量の冊子を持って現れる。

 

 

 

人事「えー、皆さん。本日緊急会議が開かれまして、明日から皆さんは在宅研修になりました。」

 


俺(おいおいマジかよ!!!!!!)

 

 

 

人事「明日から使うテキストを20冊ほどお配りするので、ちゃんと失くさずに持って帰ってね❤️」

 

 

 

俺「??????????」

 

 

 

 冗談みたいだろ?本当どころかちょっと配布漏れがあったらしくて数日後に更に10冊近く宅配テロされたんだぜ?

 

 

 

 ちなみに何のテキストかというと、商品別の必要な知識が載ってるものとか営業のマニュアルとかでした。

 

 

 

 テキストがあるのはまだマシ……なのか?と思ったが、これを一ヶ月で叩き込むのは無謀だし、上層部も色々考えてはいるんだろうけど、内部留保があるのであれば、一度足を止める選択を考えてくれても良かったんじゃねぇかなぁとはいつも思っていた。

 

 

 

 周囲が営業自粛をしている中で、頑なに強く強く営業を続ける努力は、利益を上げるという点では涙ぐましいものではあるが、残念ながら包括的に考えると一概に最善の選択とは言えない。

 

 

 

 色々理由はあるが、まず単純に費用対効果が低い。

 

 

 

 実際昨年と比較するとめちゃくちゃ売上が落ちていたし、他の会社がそもそもやっていないのでアポすらまともに取れず、ましてやこの状況下で新規に購入してくれるところなどほとんどない。

 

 

 

 ……あー、言い忘れてたかもしれないが、かつてはB to Bの会社に所属していました。まぁ、メーカーって言ってたからなんとなく察していたとは思うけど。

 

 

 

 そんな頑張ってもほとんど売上にならない状況だと、業務の効率が悪くなる一方だし、従業員の満足度も下がってくる。

 

 

 

 効率が落ちて利益をロクに生み出せず、従業員の満足度が落ちた会社は果たして市場における存在価値があるのだろうか。

 


 

 後は余談になるかもしれないが、一部の会社からの評判も落ちる。

 


 元弊社は電話営業をやったりカタログ送付テロを主流にしていたので、ほとんど交流が無い会社からは鬱陶しいことこの上無かったんだろうなぁ……。

 


 まぁ、稼働している方がそこらへんのデメリットを覆せるだけの利益を出せるとお偉いさんは考えていたんだろうし、実際主要取引先はそこまで疎ましく思っていなかったんだろう。

 


 どうしてもラインを止められないような企業からしたら、常時サポート体制が整っている元弊社のような存在は有難いからね。

 

 

 

 


 大学をGPA1.9未満で卒業した俺が軽く考えるだけで出たこんな考えは、恐らく上層部の方にとって一生に伏される程度のものなのだろう。

 

 

 

 そんな意見を持ちながらも、「かぁ〜ww wwこれで他の会社の同年代より一歩先を行っちまったぜぇ〜 wwww」と吠えていた俺はその一ヶ月半後に、一歩先どころか色々飛び越えて退職することになる。

 

 

 

 


 これまた余談ですが、テキストをたくさん持ち帰る関係で、「寄り道せずにさっさと帰れ」と言われていたのですが、もう二度と本社の近くには来れないと本能的に察知したので、帰りに会社の近くの家系ラーメン屋で優勝しました。

 

 

 

 みんながちゃんと帰れば鉢合わせることもないのでヘーキヘーキというクソ理論。

 

 

 

ーーー。

 

 

 

 さてさて突如夕方に在宅勤務を宣告されてから次の朝を迎えた俺は、スマホの画面越しに毎日研修を重ねることになる。

 

 

 

 俗に言うZ◯◯m研修というやつである、伏せれてねぇな?

 

 

 

 9時前から17時半前まで、昼休みを除いて社用ケータイで永遠に会社と中継。

 

 

 

 新卒の在宅が始まった当初は先輩方は普通に出勤していたので、俺と違って守る家庭がある人もいるのに可哀想だなぁと思ったりしていました(他人事)。

 

 

 

 この特殊な状況下で工夫を凝らし、今できる最大限の研修を施してくれた点は感謝し切れないが、それでも在宅研修には限界があり、特に実際にほとんど商品に触れなかったのは痛過ぎた。

 

 

 

 大量に持ち帰ってきたテキストをみんなで中継しながら、研修担当の先輩の講義を小耳に挟みつつ、なんだかんだで時間だけは早く過ぎていった。

 

 

 

 在宅でも要求される知識多過ぎて頭抱えてたけどな!!!!

 

 

 

ーーー。

 

 

 

 せっかくなので、ここで在宅研修あるあるネタを二つお話しします。

 

 

 

 一つ目は、在宅研修中の服装のお話。

 

 

 

 基本的には映像越しでこちらの様子はある程度見えているので、少なくとも上半身はスーツを着用する必要があったし、画面に映っている部分はしっかりと勉強している様子を映す必要があった。

 

 

 

 ……まぁ、こんな露骨な書き方をすれば伝わると思うんだけど、本当に「上半身だけスーツ」の同期がいたんだよね。

 

 

 

 幸い研修の時間中は真面目にやっていたらしいが、講師が消えた瞬間に、

 

 

 

同期「俺、実は今下半身パンイチなんだよね。」

 

 

 

 ……衝撃の暴露。(因みに自分はスーツがシワになるのが嫌だったので、映像越しではスーツに見えるような黒いパンツを履いていました。勿論下着のパンツじゃないよ。)

 

 

 

 そんなパンイチの同期は比較的温厚な性格をしていたが、営業所に配属されてからは体育会系のキビキビした先輩に可愛がられつつ、今も頑張っているらしい。強く生きてくれ。

 

 

 

 


 そして二つ目は、ありがちだけどマンションの騒音トラブル問題。

 

 

 

 四月は会社が契約したマンスリーマンションに身を置いていたんだけど、そこに俺を含めた同期5人ほどが入ることになったんだが(勿論全く知らない人も入居している)、それはまぁ壁が薄くて薄くて。

 

 

 

 初日に風呂場で去年めちゃくちゃ流行っていた某ラブソングを「キミの運命の人はボクじゃないぃいいい〜〜〜」といった感じで気持ちよく歌っていたら、翌日から裏でプリテンダーと呼ばれていたのは今だから笑える話。

 

 

 

 すぐに気付いて騒音を控えるようにしたんだが、俺が開戦の火蓋を取ったと思われたのか、隣室の同期が俺を煽るように雑音を放ち始めやがった。

 

 

 

 研修後には夕方から日付が変わるまで、連日のように友達とオンラインで通話をしながらゲーム。

 

 

 

 ゲームで感情が昂ったら壁ドン床ドン。

 

 

 

 挙げ句の果てには0時過ぎに窓を開けて奇声を上げ始め、流石にアレは恐怖体験だった。

 

 

 

 そんなやべー同期が同じ営業所に配属されると知ったときにはこの世の終わりかと思ったが、配属されてからは別人のように真面目に仕事をしていて、分からないことがあった時にはお互いに相談したりしていたので、映画版のジャイアンかと思いました。同期ってかけがえないね。

 

 

 

ーーー。

 

 

 

 新人研修中に特に印象に残っていたのはこれぐらいかな。実際イラつくこともあったし、人生初めての一人暮らしで大変なことも多かったし、何より研修が忙し過ぎて目まぐるしかったなぁというのが今だから思える感想かな。

 

 

 

 私生活でのトラブルを一つ挙げるとするなら、ボラギノール先輩に頼りになりました。

 

 

 

 昔々の中学時代に陸上部で頑張っていた若かりし頃の俺は、ランニング中に下着が食い込みまくっていたことが災いとなり、気付いた時には痔を患っていました。

 

 

 

 最近は一年に一ヶ月ほど顔を見せてくる嫌な親戚ポジションを確立してきていましたが、慣れない生活が祟って四月から痔と共同生活をする羽目になったよ……。

 

 

 

 近くの薬局に雨の中駆け込んで見つけた約1500円弱のボラギノール先輩は、四月にいた関西で誰よりも俺に優しくしてくれました。

 

 

 

 あなたのことは地元に帰っても忘れません。

 

 

 

 


ーーー……。

 

 

 

 そんなこんなで私生活で色んな事件がありつつ、在宅になっても続く毎朝の確認テストでクソみたいな点数を取る日々にも終わりが近付き、最終日に新人研修総復習テストがやってきた。

 

 

 

 テストの内容は営業の作法以外がメインで、商品に関する知識や学問領域の習った部分といった感じだった。

 

 

 

 毎朝のテストでは酷い目に遭ったが、死にものぐるいで勉強し、この最後のテストだけ満点を取って同期で一位になったのは忘れない思い出だ。

 


ーーー。

 


 お気づきの通りかは知らないが俺はよく言えば晩成型である。

 

 

 

 ……悪く言えば?要領がドチャクソ悪い。

 

 

 

 しっかりと時間をかけて習得すれば、最終的には色んなことに気が回って頼りになる存在へと進化することができるが、そこに至るまで物凄く苦労するタイプである。

 

 

 

 一度教わったことは全力で三回以上復習しないと身に付かないし、教わったことをすぐに活かせる応用力も瞬発力も無い。

 

 

 

 そんな俺は、頑張ることでしか求められる領域に至ることができないし、この会社だけでなく、今までもずっと悪あがきをしてこの時代を生きてきた。

 

 

 

「誰だって時間をかけてやれば成長できる」とは一ヶ月半で辞めた居酒屋の店長が言ったセリフ。

 

 

 

 即戦力を求めるなら求人にそう書いておけやチクショー。

 

 

 

 ちなみに同じことを会社でちょっと偉い人に言われた時はめちゃくちゃ心が痛かったです。正論なんだけどね。

 

 

 

ーーー。

 

 

 

 総復習テストの後には、この一ヶ月の研修の振り返りシートを記入し、一人一人発表し、研修担当の責任者からフィードバックを貰う時間になった。

 

 

 

 みんなが冷静な分析を披露する中、俺は空気を読まずに、

 

 

 

俺「俺は最後のテストだけ満点を取れたが、毎朝の確認テストはロクに点数を取れず、研修中に指名された時は狼狽えるばかりで、正直今でも自分の知識の無さや自信のなさを痛感じている。

 


そうした自信の無さというものは、知識を強固にし、営業のスキルを磨くことで払拭されていくものだと思うので、今後は自分に自信を持って、会社の人や客先に安心して貰えるように、地道な努力を重ねていきたい」と語った。

 

 

 

 そんな面白みのカケラもない俺の自己分析に対し、研修責任者は、

 

 

 

責任者「そこまで分析出来ているなら深くは突っ込まないが、キミは間違えることを恐れている節がある。今後はもっと挑戦してくれると嬉しいな。

 


あと、最後満点取れたことはもっと誇って良いと思うよ。」

 


 こんな感じの台詞で返してくれた。

 

 

 

 ぶっちゃけテストはゴミのような点数、指されれば何も答えられずに尸となっていた俺に怖いものなど無かったのだが、自分で思っていることと、他人から見えている自分は違うものなので、有り難く参考にさせて頂いた。

 

 

 

 その後はスマホの画面越しにGW明けに配属される営業所のお偉いさん方と軽くご挨拶を交わし、新人研修最終日は18時を過ぎたところでなんとか幕を閉じることとなった。

 

 

 

ーーー。

 

 

 

 終わった瞬間に宅配業者にダッシュし、

 


俺「すみません。宅配を利用するのは初めてで全く分からないんですけど、このテキストの山を営業所に送り飛ばしたいのですが。」

 


受付のお姉さん「まずダンボールを買って住所を入力しな。安心しろ、ちゃんと送ってやるよ。」

 


俺「ありがとうございます!!」

 

 

 

 


 こんな感じで20〜30分ほどかけて会社のテキストを新しい営業所に宅配テロし、その後は全力でマンションに戻りバカみたいにデカいキャリーケースとリュック二個を装備して、夜の新幹線に駆け込み、愛すべき関東へと一旦帰宅することとなった。

 

 

 

 ぶっちゃけ情勢が情勢なので実家に帰るのは複雑な思いを抱いたが、会社の経費精算の関係でどうしても帰らないといけず、ビクビクしながら実家へと戻ることになった。俺は悪くねぇ!!

 

 

 

 研修が終わってから全力で新幹線に乗り込んだので、新幹線が動き出した瞬間グロッキーになり、東京駅が近くまで死にそうな顔で耐えていた。

 

 

 

 あんな顔をしていても一言も声をかけてこない巡回の方は本当に仕事してんのか?とは思ったが、他人からしたら普通に疲れてるよく見るサラリーマンの一人にしか見えてないんだろうな。

 

 

 

 ……そんなに死にかけてるサラリーマンがいるのも嫌だし、そんなサラリーマンを日常的に観測するお仕事もなんとも言えねぇわ。

 

 

 

 こうして関西のマンスリーマンションから約4時間かけて実家に戻った俺は、短くも濃厚な新人研修を終えることになる。

 

 

 

 ……えっ、第二新卒で転職したらもう一回新人研修が受けられるんですか!?

 

 

 

 


 会社の理念の暗記テストとか、マナー研修免除してくれれば喜んで受けるよ……。

 

 

 

 


ーーーーー。

 


 小分けにしようとも思いましたが、なんとか纏まったので、4月の新人研修編はこれにて終了です。

 


 三日坊主にならなければ、次回は幕間としてGW編をお届けするか、いよいよGW明けの営業所編に突入します。

 

 

 

 全ては引っ越しの準備の進行度とモチベに依存するので何とも言えませんが、良ければ応援宜しくお願い致します。

 

 

 

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